「北方領土の謎」名越健郎

 戦後70年以上にわたってソ連・ロシアの実効支配下にある北方領土の実態を、択捉島や国後島の地域紙などロシア側の資料を使用して浮き彫りにした、知られざる“北方領土”の真実の姿。
 戦後から現在までの日露関係の変遷の歴史をはじめ、北方四島をロシアはどう活用し、どんな人が住み、どのような生活が営まれ、どのような犯罪が発生し、どのような企業が存在しているのか。
 日本への返還は実現するのか? 住民の真実の声の行方は・・・

 北方領土(択捉島、国後島、色丹島、歯舞諸島)といいますが、詳しく把握している方は多くないと思います。
 みんな漠然とイメージしているだけです。
 当たり前ですよね、行くどころか映像なんてまともに観たことないんですから。
 日本政府は北方領土での企業活動を禁止しています。
 実際には、ロシアのビザを取得してこっそり旅行した方もいらっしゃいますが、バッシングを受けるのは当たり前です。あくまでも、北方領土は日本固有の領土であり、ロシアのビザなど必要なはずがないのですからね。
 入国という形をとれば、ここは外国ですと認めたことになりますから。
 とはいえ、一回は行ってみたいですよね・・・
 ものすごい、ビビるくらい景色が綺麗だそうですし。世界三大漁場のひとつだから、お魚ピチピチ。
 現在のところ、日本と北方領土を行き来できるのは、1990年代前半に始まったビザなし交流だけです。
 著者は1995、2008,2010,2012年と4回参加しています。
 しかしそれも、ロシアの体制如何によっていつ中止になるかわかりません。
 1995年と2012年ではまったく雰囲気が違うそうです。親切だったのがつっけんどんになったとか。
 なんせ、相手がロシアですから。まあ、まともな国ではありませんわ。
 元はと言えば、条約を破って一気呵成に千島列島を南下してきたんですからね、すごい勢いで、泥棒のくせに。

 本書を読めば、このあいだの安倍首相とプーチン大統領の会談が、違った角度から捉えられると思います。
 少なくとも、「領土返還もないのに金やるのかよ」とは単純に言えなくなると思います。
 複雑な事情が色々とあるのですよ。国際情勢にも影響されますし。
 それでも、プーチンが本当のところ何を考えているのかまではよくわかりませんが、北方領土とは何かを考える上で本書は格好の入門書になると思います。
 今更どうにもなりませんが、かえすがえすも惜しいのは、ソ連崩壊直後の1992年くらいに、問題解決の大きなチャンスがあったという事実です。辺境の島々どころじゃなくなったロシアは、北方四島を手放そうとしていたのですね。
 平たく言えば、バブル期末期の日本に叩き売ろうとしたのですよ。
 しかし、この千載一遇のチャンスを、日本はむざむざと逃してしまいました。
 政治まで話がいかずに、外務省の数人の高官だけで、話を蹴ってしまった可能性もあるということです。
 このとき、ハナから四島返還じゃなければ突っぱねるんじゃなくて、あくまで交渉なんですから、はじめは二島からやって過程で経済援助を上乗せしていけば、絶対に四島は還ってきたと思います。
 エリツィンはスターリン嫌いで「戦争に勝ったからといって領土を奪っていいわけではない」と言っていたくらいですから。
 それがいまやロシアの高官は「敗戦国には領土返還を求める権利はない」と言っています。
 ロシアが大弱りしていた冷戦終結からソ連解体にかけてのどさくさに紛れて、解決していればよかったのです。
 現にドイツはそのとき、それをやりました。ドイツとロシア間に先の大戦の後腐れは残っていません。スッキリしています。
 これは過去の日本外交の失敗の結果なんです。
 今になって、安倍首相に文句を言う筋合いはありません。
 安倍首相は、今出来る限りのことを、将来に向けた布石を改めて打った、そんなところだろうと思います。
 一回失敗したことをやり直すには、ものすごいパワーが必要です。
 

 
 
 
 
 
 
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「米中戦争 そのとき日本は」渡部悦和

 この本を読んで「日本が戦争に巻き込まれる? そんなもん起こるわけない」と言い切れる人がいるんでしょうかね。
 それでも左翼のオバハンは念仏のように平和平和と唱えていたら、絶対に戦争は起こらないとおっしゃりますか。
 もはや、どこかの国のスパイだね。
 頭がよほど空っぽか中国から金もらってるんじゃないの。

 東日本大震災で日本が未曾有の危機に陥っているとき、災害対応で大変な自衛隊の警備レベルを確かめるために過度な軍事偵察活動を行った国がありました。
 露スケと支那のうんこ国ふたつです。
 もし次に同じような災害が日本に起きれば、それに乗じて軍事活動を起こす可能性があるということです。
 火事場泥棒というか、もはや我々の性善説的な価値観が通じる相手ではないと言っていい。
 そして最大かつより現実的な脅威は支那のほう。

 中国の国防費は過去10年間で4倍の16兆円になり、いまや世界第2位の軍事大国です。
 急激な経済成長を背景として富国強軍を選択し、中華民族の偉大なる復興を実現しようとしています。
 アジア地域から米国を追い出し、この地域の覇権国家になろうとしているのです。
 その表れが、東シナ海や南シナ海における領土要求を絡めた強圧的な態度であり、日本に対しては特に敵対的な政策や言動が目立ちます。とくに尖閣諸島問題に関しては、海警局の公船が領海侵犯を繰り返す一方で、中国軍戦闘機はいつ不測の事態が起こっても不思議ではないきわめて危険な行動を繰り返しているのです。
 かなり高い確率で、何かが起きようとしています。
 民間の漁船に偽装された準軍事組織による尖閣占領は、相手が軍隊ではないために日本の法律では自衛隊が出動できず、警察か海上保安庁でなければ対処できません。
 アメリカは尖閣諸島の件ではおそらく何もしてくれません。
 もはや、どうして中国が南シナ海でやったように尖閣諸島に上陸しないのか、不思議なほどです。
 そして本書には、いざ中国が日本に対して軍事行動を起こすときには、日本に在住している工作員がテロ活動を行うだろうとも書かれているのです。

 著者は元陸上自衛隊東部方面総監の渡部悦和氏。東京大学卒で自衛官という異色の経歴。
 退官後は、ハーバード大学アジアセンター研究員。
 本書に書かれていることは、公的にアメリカの研究機関が発表したものであり、著者の妄想ではありません。
 年々、中国とアメリカの軍事力の差は縮まりつつあります。
 中国はすでに、東アジアに展開する米軍の基地をミサイルで先制攻撃できる力があります。
 その場合、一時的に米軍の戦力が分散されるため、日本は一週間から一ヶ月、中国の猛攻に耐えなければなりません。
 日本の自衛隊はこのため、南西方面の守備を徹底的に研究しているようです。
 具体的には、中国に対して優勢である水中、潜水艦ですね、これの活用、そして南西諸島での陸上自衛隊による対空対艦ミサイルの配備、そして中国の水上艦艇を封じ込める機雷網の敷設です。
 
 現在の戦争は、陸・海・空だけではありません。それにサイバー、宇宙を加えた5つの領域で一気に勝負されます。
 中国のサイバー、宇宙戦能力はアメリカと互角といっても過言ではなく、特にアメリカは人工衛星および衛星関連のインフラが脆弱であるため、中国によって人工衛星が撃墜されると統合作戦本部機能が麻痺しかねません。
 さらには「偉大なる中華民族の復興」を公言する習近平は残念ながら有能であり、旧態化した人民解放軍の改革を断行しています。習近平は人民解放軍では戦争に勝てないと思っていることは確実で、これをアメリカに伍することができるように、具体的には伝統的な陸軍優遇の是正やロケット軍の新設など、日本から見ると極めて危険な改革を実際に行っています。

 今、安倍首相が東南アジアの国々を歴訪していますが、訪れている国は本書で中国を封じ込めるために不可欠な列島線の国々と書かれているところばかりです。これは偶然ではありません。現実的な危機が迫りつつあるのだと思います。
 相当、ヤバイです。



 
 
 

「竹島 もうひとつの日韓関係史」池内敏

 日韓両国とも、竹島は、歴史的・国際法的に(韓国の場合は地理的にも)自らの「固有の領土」であると述べ、この島をめぐる紛争の有無についても見解はすれ違う。日本側は国際私法裁判所への提訴など国際法にのっとって解決に向けて努力すると述べるのに対し、韓国の立場からすればそうした“案件”自体が存在しない。
 日本外務省のパンフレットでは、竹島領有権の正当性が日本側にあることを強調している。
 「韓国側からは、我が国が竹島を実効的に支配し、領有権を再確認した1905年より前に、韓国が同島を実効的に支配していたことを示す明確な根拠は提示されていません」
 おそらくはこの主張こそが日韓いずれの側にとっても、竹島論争における最大の論点である。
 この主張をどう維持するか、あるいは論破するかによって、論争の決着が左右されるほどの重要な論点である。
 本書における論証も、究極的にはこの点へ向けての歴史的事実の積み重ねである。


 と冒頭でおっしゃられていながら、最後らへんでは「竹島をめぐる動きは、1900年前後の10年間こそ重要なのであって、近代前の事蹟はまったく意味がない」と書かれているのが、なんとも(笑)
 まあ、わかるのですよ。結局、歴史的には民間の漁師が漁場にしていただけで、日本も朝鮮も竹島を国家管理していた事実は存在しないと著者は言いたいのでしょうから。そりゃそうだわな、金や銀でも出れば別だけど、ただの岩島だし。
 竹島が欝陵島の付属みたいな扱いをされていたのも仕方ありません。
 鳥取の漁師にとっては、アワビやアシカの漁場である欝陵島(竹島から北西49海里)への途上の道標のような役割しかなかったでしょうからね。竹島は0・23平方kmしか面積がない岩のような島ですからね。
 ただ、朝鮮側から見ると、日本の漁師以上に、竹島に魅力はなかったはずです。欝陵島の向こうになりますから。
 わざわざ足を伸ばすかね? ですから、朝鮮が竹島を支配していたはずがありません。
 しかし、1625年に、日本と朝鮮の漁師が欝陵島の漁場でバッティングしたときに、江戸幕府にこの問題が持ち込まれ、実際の朝鮮外交は対馬藩に任されていたわけですけども、「欝陵島は日本の領外である」と結論づけられたのです。
 これがわからない。おそらく秀吉の朝鮮出兵から数十年、幕府が朝鮮に遠慮したのでしょうか。
 本書にも、このときの幕府や対馬藩の判断の理由が説明されていません。なんでだろね、一番の謎だわ。
 領地領海の認識が薄い時代ですしね。しかしこのときに、「欝陵島は朝鮮だが竹島は日本でどうですか」と交渉していれば、現在も違った結果になっていたかもしれません。
 だからといって、朝鮮がその後に竹島を支配していたという事実はありません。
 「欝陵島はもちろんだけど、竹島も朝鮮だかんね」と、日本側に説明した形跡はいっさいありません。
 まあ、双方とも、時代が時代だから、それほど真剣じゃなかったんだろうなあ。
 結局、近世及び明治10年の太政官指令でも日本は「竹島を日本領外」としておきながら、韓国側も弱小国家の薄ぼんやりですからそのままで、なんと1905年(明治38年)に、日本は閣議決定で竹島の日本領編入を決定するのです。
 ウルトラCだね。なぜか? 日露戦争の遂行中で、日本海が戦場となったためです。
 いずれにせよ、これが公的に初めて「竹島」が特定の国の領土と発表された瞬間でした。
 韓国は「は?」と思ったでしょう。ところがそれからわずか5年で韓国は竹島どころか国が全部日本になっちゃいます。
 ややこしくなったのは、第2次世界大戦で日本が戦争に負けて主権を失ったからです。
 サンフランシスコ平和条約が調印(1951・9・8)されてから発効(1952・4・28)するまでの途上にあたる1952年1月18日、李承晩韓国大統領は海上主権宣言を行い、いわゆる李承晩ラインのなかに竹島を取り込んだのです。
 主権を回復した日本政府は抗議し、1965年まで4往復にわたって竹島領有権をめぐる日韓両政府の見解がかわされましたが、議論は棚上げされたままです。その間、1954年ころから韓国側は実力による竹島の占領維持を開始し、現在にいたっています。

 どっちでしょうか?
 著者の結論は「どちらの言い分も根拠がない」と言っているように思いました。
 私がそう感じただけかもしれないですが。
 私は日本だと思う。欝陵島と竹島の中間点が国境だと地理的にピッタリくる。
 でも思っても、意味がない。
 結局、現時点で実効支配しているのは、韓国ですから。
 実効支配しているのがすべてですからね。竹島に上陸できますか? 殺されますよ。
 ですから、極論ですが、この本で述べられていることすべて実は意味が無いと思います。
 歴史がどうとか、そんなこと関係ないですね。
 それでも、目をつぶらずに、自分の国の現代史を知る努力をしなければなりません。
 そりゃこんな本、読むのは苦痛ですよ、韓国大嫌いだし。
 でも感情論だけで無知なまま行けもしないのに「竹島は日本の固有の領土!」と言いたくないですね。
 まだ、悔しさを飲み込みつつ、「盗人にも三分の理か」と思っているほうがマシでしょ。


 
 

「イスラーム国の衝撃」池内恵

 同じ新書ですが、この前読んだ国枝昌樹著「イスラム国の正体」(カテゴリー国際関係・世界情勢)よりわかりやくて良かったと思います。
 とにかくコーラン読んだわけじゃないですし、中東やモスリムのことは複雑でよく理解できないんですよ。
 それは私だけじゃなくて、ほとんどの日本人がそうじゃないでしょうか。
 ですから、こういった本はどれだけわかりやすく書かれているかに尽きると思いますね。
 何がわからないのかさえ、わからないんですからね。
 でも、IS(イスラム国)に関してだけは少しでも理解をする努力をしなければなりません。
 そのまましぼむのかと思ってたら、またバクダッドのへんまで攻勢をかけてきたでしょう?
 アメリカが地上軍を派遣しないかぎり、決着はつきませんよ。えらいことですよ、これは。
 もう、アル・カーイダやタリバンのレベルではないところまできていると思います。
 バグダディが死んだかもと言われているのに、これですからね。
 著者が書いているように、きっとイラクのフセイン政権バース党の怨霊なんですよ。
 昨日観た関西系の情報番組では、出演していた飯島勲さんがバグダディはユダヤ人で元イスラエルの情報工作員だったなんてとんでもないことを言っていましたけどね。
 陰謀論はともかく、それよかバース党の残党のほうが安心できるってもんです。
 著者は中東専門家(中東地域研究、イスラーム政治思想)の池内恵(いけうちさとし)東京大学准教授。ちなみに女性ではありません、おっさんです。
 
 2014年6月29日、ISはイスラム国を樹立するとともにカリフ制の再興を宣言し、全世界に衝撃を与えました。
 カリフを宣言したことは、全世界のイスラム教徒の政治的指導者としての地位を主張したということです。
 まんざら大ぼらでもなく、実際にこのときISはイラク北部と西部、シリア北東部と北部を占領統治していました。
 これは、突発的な国際テロという形をとっていたアル・カーイダと比べると、次元が違う世界です。
 いやアル・カーイダはいわばテロのフランチャイズであり、ブランドであり、無形です。山口組みたいなものです。
 本書ではこのへんのISがどう今までのイスラム過激派と違うかという点を細かく追求しています。
 ISだって元は、まあ、ザルカウィですが、アル・カーイダと関係はありましたがね。
 知っていましたか、イスラム国は元はかつて日本人の香田証生氏を殺害したグループなんですよ。
 これあんがい、みんな知らないよね。私も本書を読むまでまったく気づきませんでした。
 あれが変遷し、提携していたアル・カーイダから離脱して、イラク戦争によって解散した旧フセイン政権の残党を吸収し、2011年より始まったアラブの春によって弱体化し領土全体を統治できなくなったシリアの空白地帯を奪い取ったのですね。
 イラク側の占領地帯は、スンニ派を主力としたフセイン政権が倒れてから割りを食ったスンニ派の居住地域です。
 とすると、納得でしょう。まあ、漁夫の利みたいなもんですよ。ちょっと違うかな。
 政府軍が逃げたときにアメリカから供与された最新兵器を置いていって、それで兵力は格段に向上しましたが、資金力は想像するほど大したことはないようです。略奪経済の域を出ていないと書いてありますね。
 でも、妙に強いんですよね。他が弱いだけかもしれませんが・・・

 ISで特異なのは、専門的なメディア宣伝部隊があり、世界中の現状を超越したいと夢見る若者を集めていること。
 本書の説明では、現在のISは、昔の左翼イデオロギーや新興宗教のようなもので、現状全否定の若者がハマりやすいそうです。これもまあ、わかりやすいかな、システムはね。現にイスラム圏の若者が多くISに集まっています。
 ただ、首切りなど惨殺映像を公開するのはどう考えても宣伝ではなくて逆効果だとは思いますが。
 私なんかは、それまであまり関心はありませんでしたが、あれを見てずいぶんキレましたけどね。
 大切なのは、あれをもってイスラム教全体を蔑視しないことです。
 そしてそれを本当に理解しようとすれば、コーランを読んでみなくてはなりません。
 それは難しいでしょう。ならば、その推測や想像を自分自身で結論として認めないことです。
 そうすれば少なくともそれほど腹は立たなくなります。
 しかし、ISのこれからは、アメリカという国の覇権の行く末しいては世界の未来を左右するやもしれませんね。


 
 
 
 

「イスラム国の正体」国枝昌樹

 最近、報道で「イスラム国」ではなく「IS(Islamic State)」と呼ばれるようになったのは、世界中のイスラム教徒から、あんなのにイスラムの名を付けないでくれと苦情が殺到したからだそうです。
 世界で最も非人道的な残虐行為を重ねるイスラム過激派、「IS」。
 イラク・シリア国境を横断する広大な砂漠地域に「イスラム国」という国家が存在を一方的に宣伝したのは、2014年6月29日でした。シリアの内戦とイラクの混乱に乗じ、雪だるま式に拡大してしまったのです。
 その謎に包まれた実態、そして出自とは!? そして、周辺諸国の動向とISの行方。

 著者は、2006年から10年まで在シリア特命全権大使を務めた元外交官で中東の専門家。
 ISというと、どうしても日本人の方の最期がいまだに記憶に新しいところですが、直接そのことに触れられた箇所はありません。2014年12月に書かれたものですから、間に合っていないのですね。
 しかし、不明点も多々有りますが、ISについての基本的なデータに関してはほぼ推測されていると思います。
 中東の国々やイスラム過激派は数も多いしですし、立場を俯瞰することは難解なのですが、とても読みやすかったと思いますし、スンニー派とシーア派の違いやイスラム過激派の歴史など基本的なことも書かれていて満足でした。

 ISが今までのイスラム過激派と大きく異なる点は3つあります。
1・「国」を名乗り、領土を主張し、行政を敷いていること
2・インターネット上で効果的にメッセージを発信していること
3・欧米人を含む外国人の参加が多いこと
 ニュース番組などでISの領土地図をよく見ますが、あれが点と線で面になっていないのは、そこに人が住んでいないためです。ISの支配地域の人口は6百万人と言われていますが、その地域の大部分はシリアが放棄した砂漠地帯です。
 自称首都はシリア東北部のラッカ。シャリーア(イスラム法)による、7世紀の正統カリフ時代を理想としています。
 目を引く特色としては、奴隷制の復活は挙げられるでしょう。
 支配地域で拉致した少数派ヤジディ教徒(ゾロアスターやイスラム、キリスト教のハイブリッド)やキリスト教徒が、40~50歳までの女性が約5千円、10歳から20歳の少女は1万5千円、1歳から9歳の女児は1万8千円で売られているそうです。
 ISの収益源はシリア・イラクの占領地帯の油田と思われていましたが、実際は資源収入は大したことないそうです。
 確実な収入源は税金と寄附金、そして占領直後の銀行襲撃など。異教徒への人頭税もあります。
 武器は、アメリカ製の最新鋭武器を含め、敵対勢力(他の反体制派や政府軍)から奪っているそうです。
 ISの最高指導者は、イラクのサマラ出身であるアブ・バクル・バグダディ(2015年5月現在は不確定ながら死亡情報もある)。正則アラビア語を演説で操る、なかなか教養ある人物らしいとのことです。
 バグダディの下に、イラク人を中心とする12人の幹部と、24~5人の準幹部がいます。
 戦闘員は増加傾向にあり、なかでも80カ国以上から1万5千人を超える外国人がムジャヒディンとして参加しています。
 チュニジア人約3000、サウジアラビア2500,フランス700、イギリス500、中国100などですね。
 それというのも、インターネットを利用した宣伝術が非常に上手だったためです。
 メディアに報道されなければ伝播することがなかった時代と違って、今は直接全世界の人間に訴える術があります。
 そして空虚な心と生活を抱え、目標を持たない若者はどの国にもいるのです。
 ISは彼らをピンポイントでスカウトする能力があります。

 では、ISの出自は?
 その起源は、1990年代なかばのアフガニスタン情勢までさかのぼるそうです。
 タリバンの頃ですな。
 なぜならこのとき、ヨルダン人のザルカウィ(イスラム過激派の有名人。2006年に米軍の攻撃で死亡)が結成した武装グループこそ、今日のISに直結しているからです。
 ザルカウィは、2000年代にイラクに拠点を移し、ウサマ・ビン・ラディンのアル・カーイダに忠誠を誓いました。
 だから、ISは元はアル・カーイダ系武装グループなのですね。
 ザルカウィの死後、アブ・オマル・バグダディが跡を取りましたが彼もまた2010年にイラク政府軍の攻撃で死亡、現在のISのカリフ、アブ・バクル・バグダディが就任したという流れです。
 現在はアル・カーイダを離脱し、敵対しています。
 普通に怖ろしいイスラム過激派から見ても、ISは「おかしい」のでしょうね。


 
 
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