「黒警」月村了衛

 先日間違って読んだ「黒涙」の前作。
 黒社会の中国人と義兄弟の契りをかわしたうだつの上がらぬ警視庁の刑事が、外国犯罪組織と癒着した警察幹部を罠にはめるエンタメサスペンス。読み味は軽め。

 「黒涙」が面白かったので、読んでみました。順番は逆ですが。
 やっぱりあれだね、順番は間違っちゃいけないなあ。
 結局、「黒涙」には本作のちょっとしたネタバレといいますか、時系列的に過去が含まれているわけで、まあ「未来からきました」と言ってるのと同じで、知らないはずのことを知ったうえで読んでますから、面白み半減ですな。
 だいたい読み味が軽いですしね、この作家。
 淡麗グリーンラベルとかのどごしスーパーライトとかそのへんのグイッといく発泡酒みたいなもんで、エビスとかラガーのような本格的なビールの苦味や重みはありませんから、いったんダメだとなったら最後までダルいね、読み切るのが。
 いきなりこれを読んだら、だいぶ違ったとは思いますが。
 沢渡と沈の義兄弟の行く末も知っているだけにねえ。
 血の杯を交わした割には、お互いの利益優先というか、義兄弟というにはあまりにも重みがない関係だと思う。
 そのへんを深く書き込んでいく作家ではありませんから、まあ、仕方ないのか。
 流れとノリで考えるスキを与えず、いかにスパッと読み切らせるかが、この作家の勝負だと思います。
 ゲーム好きの警察庁幹部というのもどうかと思いますが、人物描写は軽さが逆に読みやすさと相まっているので、それはいいかも。沢渡の髭は気になるなあ。「黒涙」のときから気になっていたのですが、本作読んでも意味はわかりませんでしたねえ。

 簡単にあらすじ。
 警視庁組織犯罪対策部の捜査官である沢渡。36歳。警部補。
 妻に逃げられ、仕事もやる気がなく、うだつが上がらない。典型的なダメ警官である。
 今回も、その他大勢で生活安全部との合同捜査となる偽ブランド品摘発捜査本部に回された。
 実質的に本部を率いるのは、未来の警察庁長官との噂もある超エリートキャリアの高遠警察庁生安局長。
 一兵卒といえど、失敗は許されない。
 沢渡には過去の因縁から、腐れ縁をもつことになった波多野という武闘派だが人情味に篤いヤクザがいた。
 波多野経由で偽ブランド販売の情報を探った結果、義水盟という謎の組織にぶち当たる。
 まったく正体は不明、幹部の名前は沈という中国人。
 沢渡と波多野は沈の行方を追うがまったく五里霧中のまま、沈のほうから二人の前に姿を現した。
 二人に心を許した沈が打ち明けたのは、思いもよらぬ上海系の巨大犯罪組織天老会と警察幹部の癒着だった。
 しかし、義侠心に燃える波多野は天老会に殺されてしまう。
 ショックを受けた沢渡だったが、沈と義兄弟の契りを交わし、警察のなかの“黒色分子”となって、波多野の仇を討つべく悪に染まった警察幹部を罠にはめるべく、策謀を練る。狙いは高遠生安局長・・・


 
 
 
 
スポンサーサイト

「黒涙」月村了衛

 またやった、続編だと知らずに読んでしまいました。
 もっとちゃんとamazon、書いておいてくれないかなあ、シリーズだって。
 もちろん、調べなかった私が悪いんですけど。
 しかし、前作があるとわかった時点で「やめようかな」と一瞬、思ったんですが、我慢して正解。
 そんなこと眼中になくなるくらい、面白くなってきました。
 警察組織にまで浸透し、日本の政財界を牛耳る中国の闇社会の恐怖を描いた、諜報バイオレンスです。

 実は今年、タイトルも思い出さないくらいの駄作を読んで(学校の部活のキャンプが襲われるような話)、もう月村了衛を読むのはやめようと思っていたんですが、本作はちょっと違いました。
 深みはまったくないですし、ツッコミどころもあるのですが、面白かったです。
 なんせ、我々の社会に中国がこっそりと浸透しているという、現実的な恐怖に妄想が駆り立てられました。
 これ実際、ここまでいかなくても似たようなことあるんですよね、きっと。
 順番が逆になりましたが、前作も読んでみなくちゃなりませんね。

 あらすじ。
 日中秘密協議の席上で、中国商務部の幹部が機密漏洩をほのめかせる発言をした。
 内閣周辺しか知らないはずの、大臣の健康状態を問うてきたのである。
 すぐさま、外務省と警察庁が協力してカウンターインテリジェンスの措置が取られた。
 中国の諜報活動による国家機密漏洩の阻止が至上命題である。
 それにはすべての元凶を根絶やしにしなければならない。
 暗躍する中国スパイ、政治家に利益供与をし政策決定に影響を与える在日華僑、そしてすっかり中国に金で飼いならされた日本の政治家や高級官僚を、これを契機に一網打尽にするのだ。
 警視庁には、公安部だけではなく各部署から特に選抜されたメンバーで、極秘の特別チームが結成された。
 警視庁組織犯罪対策第二課に属する沢渡警部補(36)も、突然上司に呼ばれ、公安部への異動を告げられた。
 腑に落ちぬまま出向してみると、そこは中野のビルの3階にある極秘の公安別室だった。
 顔を知っている捜査一課や二課の精鋭たち、そして見たこともない公安部の刑事たちら総勢40名。
 チームの指揮を執るのは、“一人Gメン75”の異名をとる、苦みばしった公安部外事二課長の滝口警視正。
 中国共産党の独裁政権と果てしない権力闘争が生み出した欲望の怪物を叩き潰すべく、いずれも名だたるメンツが揃ったこの秘密基地に、なぜ自分のようなうだつの上がらないマル暴刑事が呼ばれたのか、沢渡は不思議に思った。
 まさか、バレているのか!?
 自分が黒社会「義水盟」の大幹部である沈と義兄弟の契りをかわしながら、警察組織の中に誰にも知られず身を隠している“黒色分子”であることが・・・

 前作「黒警」を読んでいないのでわからないのですが、そこで沢渡と沈が兄弟分になるような出来事があったようですね。
 そして今回は、ふたりが対立する中国の巨大犯罪組織「天老会」が噛んでいると見られる中国のロビー活動に対して、陰で警察に協力し、中国と日本の悪党たちを一網打尽にしようと目論みます。
 いわば、沢渡は黒色分子といえど、善玉なわけです。
 ところが正体はわからないけど、警察内部に捜査情報を中国側に流している悪玉がいる。
 この正体を見破れるかどうかなのですが、読者はとっくに気づいているのに、沢渡はわかりません。馬鹿じゃないの。
 まあ、それはいいとして、本作の読みどころはインドネシアの青年実業家ラウタンと、中国のファム・ファタールことシンシア・ユンの、恋と裏切りの行方。
 ラウタンはショッキングでしたが、シンシア・ユンの挙動というか真の顔ですね、唖然とさせられました。
 さすがチャイニーズ・ビューティー・・・男は裏切っても期待を裏切らない。
 ラウタンを拉致したクルマでのシンシア。あそこが本作一番の読みどころだったと思います。


 
 
 
 
 

 
 

「去就 隠蔽捜査6」今野敏

 所轄署の署長に左遷されたキャリア警察官の活躍を描く人気シリーズの第6弾。
 実は間に短編集が2作あるので、厳密に言えば単行本としては8冊目になります。
 過去の内容は、申し訳ないのですが私、ほとんど忘れています。
 面白かったことは覚えていますよ。最初の方なんて、本を肴に焼酎ひと瓶空きましたからね。
 覚えているのは、主要な登場人物と物語の背景だけです。
 でも十分、楽しく読めますし、過去作を読んだという経験さえあれば、すっと入れると思います。
 それほど、主人公の竜崎伸也の周辺の環境は変わってないですね、たぶん。
 ただ、本作に影響があるところで、竜崎が署長を務める大森署を含む9つの所轄署を統括する第2方面本部ですね、ここの本部長が変わりました。野間崎管理官の上司です。長谷川というキャリアの本部長から、ノンキャリアの刑事・公安畑で実績を積んだ弓削篤郎という警視正に変わりました。この方、野心のある危険な人間です。
 長谷川本部長は一度だけ登場したような気がするなあ。野間さんはいつも出てる(笑)
 とにかく、アクの強い弓削本部長と我らが竜崎伸也の確執といいますか、争いが本作の読みどころです。

 簡単にあらすじ。
 大森署管内で、他殺体が発見された。
 状況から見ると、容疑者の男性はストーカー行為の末に、ストーカー対象者である女性の交際相手を殺害、さらにその対象者を略取・誘拐したと見られる。
 折も折、警察庁の指導により、続発するストーカーによる殺傷事件を重く見て、ストーカーに対する対策セクションを、大森署でも起ち上げたところだった。
 竜崎肝いりで立ち上がったそのストーカー対策チームには、型破りだが優秀な刑事である戸高、そしてシリーズ初登場となる生活安全課の熱心な少年係女性警察官・根岸紅美も含まれていた。
 早速、彼らは大森署に指揮本部が据えられたこのストーカー殺人誘拐事件に着手する。
 しかし、この事件は一筋縄ではいかずに、妙な動きを見せる。
 まず、指揮本部を緊張させたのは、容疑者と思われる男性が、父親の猟銃を盗み持っていると見られるところ。
 これには、竜崎の幼馴染である伊丹刑事部長の判断で、SIT(特殊犯捜査係)が投入された。
 さらに、容疑者と被害者である女性を乗せた車は、神奈川方面に逃げたと思いきや、都内の事件現場に舞い戻っていたことが明らかになった。
 犯人は猟銃を持って被害者を人質に立て籠もる腹である。
 これに対していつのまにか呼んでもいないのに指揮本部に現れた弓削方面本部長は、警備指揮権に基づき、機動隊を出動させる。しかし、機動隊の運用法を巡って、竜崎と弓削は対立し、事件解決後にその波紋は竜崎への特別監察という形を伴って噴出する。

 うん、面白いのは間違いない。警察モノでは、私、これが1,2番目というくらい好きです。
 でも、悪い意味で安定してしまったというか、初期の頃の初々しい高揚感はありません。
 1と2の頃なんて、読みながら時を忘れて酒ひと瓶飲んであと3時間で仕事かよどないやねん、てありましたが、今はない。
 せいぜい、3合の肴くらいかな。それでも、上の上ですけどねえ。
 かくなる上は、ラストの方で匂わされましたが、竜崎の新天地への異動かな。
 これが残された刺激策か。でも、一歩間違うと、毒薬にもなるでしょうな。
 私は、大阪とか地方への転勤もありかなと思う。面白くなるでしょう。ヤクザ関連はネタになる。
 でも、この作家の作品の中の大阪弁というのが、あまり記憶にないのですねえ。
 さあ、どうするのかなあ・・・今のままでは、ジリ貧になっていくような気もします。



 
 

「盗まれた顔」羽田圭介

 特殊な警察業務である見当たり捜査員を主人公にした、警察・諜報サスペンス。
 見当たり捜査員とは、街の雑踏で、顔を判別して罪を犯し逃走中である指名手配犯を捕まえるのが仕事です。
 本作に書いてあることが本当(そりゃ本当だろうけど)ならば、発祥は大阪府警だって。
 らしいわ。なんか、大阪人はそういうこと思いつきそう。
 一種の特殊技能というか、職人技というか、顔手帳というファイルに差し込んだ手配犯の顔を何百何千と覚え込んで、たとえば毎日100万人が行き交うといわれる新宿西口に立って、群衆のなかに飛び込んできたたったひとつの“記憶にある怪しい顔”を見つけるのです。1個班3人体制(以前は単独行動だった)で、それぞれ同じ場所の近くで見当たりをしているので、誰かが発見すると協力して顔を再確認し、手配犯に間違いないとなると声掛けして逮捕し、管轄のパトカーを呼んで連行します。
 顔を見つけて、捕まえる。ややこしい警察の組織捜査とは違って、一見、単純で楽しそう。
 しかしもちろん、実態は楽しいなんてこととは真逆です。
 警視庁刑事部捜査共助課には、見当たり捜査員12名がいるそうですが、だいたい平均して1ヶ月に1人の割合で犯人を捕まえるそうです。ところが、記憶というのはメンタルと深く関係しているらしく、いったん顔を発見できないとなると、どんどんスランプが長引いてしまうわけですね。本作にも半年間無逮捕記録を更新中という見当たり捜査の刑事が登場しています。手配犯の顔を見つけられない見当たり捜査員は、血税でまかなわれる警察組織の運営資金を食いつぶす無能なただの散歩者でしかありません。
 すごいプレッシャーなわけですよ。
 地道だけど一歩一歩進む捜査の積み重ねがないわけです。昨日したことがまったくリセットされて明日になる。
 一発当たればデカイですが、当たらない限りとことんドツボにハマります。
 見当たり捜査員5年目となる主人公が、そろそろ所轄にでも異動させてもらったほうが精神的にも良い、と言っているのもうなずけます。
 特殊な職業である警察のなかでも、特に異質な職分であるのが「見当たり捜査員」なのです。

 簡単にあらすじ。
 主人公は、警視庁刑事部捜査共助課見当たり捜査員第二班班長の白戸崇正警部補、39歳。
 仕事の姿勢は厳格ですが、私生活は出会い系サイトで知り合った相手と同棲生活4年目です。
 別に不良警官ではまったくありません。今風の若者が普通に齢を重ねて警官になったような感じ。
 序盤、中盤と白戸以下第二班の、見当たり見習い中に犯人を2人検挙するという伝説を作った、相貌識別能力に特に秀でた女性警察官の安藤香苗と、不調で連続無逮捕記録が続いている谷遼平による、東京都下での見当たり捜査の模様が続きますが、これが実はこの小説のなかで一番面白い。本筋よりも面白いです。
 男装した女性指名手配犯を見破ったり、不調の谷が誤認逮捕しそうになったりとかですね。
 中盤途中から、雲行きが怪しくなります。
 白戸が発見した中国人手配犯を逮捕したときに、どうやら同じ警察官とバッティングしたのです。それも公安の・・・
 それ以来、公安警察官らしき人間の尾行を受けるようになります。
 さらには、仲間を検挙されたことに対する不良中国人犯罪グループ黒孩子の構成員とおぼしき連中に拉致されそうになるのです。
 顔を見つけて追いかける見当たり捜査員が、逆に顔を追いかけられるようになってしまったのですね。
 すべての根源は、4年前に死んだとされる伝説の見当たり捜査員須波通にありました。
 恋人だった在日中国人二世を黒孩子に殺されて、その復讐劇のすえに焼死したとされた須波透。
 しかし、都会の雑踏で、白戸は須波の幻影をその視界に捉えるのです。それは本当に幻影だったのか?
 公安の手先になったとされる須波。整形して顔を変えているに違いない須波。
 見当たり捜査員は、はたして、顔が異なる同一人物を見破ることができるのでしょうか・・・

 なにこれ、見当たり捜査員の活動についてはめちゃくちゃ面白いですが、本筋はサッパリ(笑)
 小説じゃなくて、ノンフィクションにしたほうが良かったんじゃないの。
 本筋に関しては、カギを握る須波のキャラが薄すぎますね。
 なんで彼が公安や黒孩子に追い回されているのか、根拠がわかりにくい。
 さらには、千春の浮気疑惑が中途半端。
 いっそね、須波関連はおいといて、千春のほうに話を絞ったほうが面白かったかもね。
 似合わないんですよ、サスペンスなんてこの作家には。そこはかとない文芸臭も感じますしね。
 見当たり捜査員と、その恋人の浮気疑惑で進めたほうが良かった、私はそう思います。

 でも、見当たり関係はマジよかった。
 彼らは、どこを見て、その顔が手配犯であると見破ると思います?
 注目するのは、顔全体におけるそれぞれのパーツの配置、目玉、耳だそうです。
 なぜなら、これらは加齢による変化が少なく、人工的に変えられないからなんですって。
 防犯カメラの映像から指名手配犯やテロリストの写真と自動照合するシステムの開発が実際に行われているそうですが、本書を読む限り、アナログ的な見当たり捜査員の活躍する場は、当分なくなりそうにありませんね。


 
 
 
 

「硝子の太陽 Rouge」誉田哲也

 人気シリーズのコラボ二冊同時刊行の一冊。こちらは、姫川玲子視点の「Rouge(ルージュ)」。
 もう片方は、ジウサーガのキャラたちによる「硝子の太陽 Noir(ノアール)」
 同じ時系列で動いていますが、ある人物の死をきっかけに、違ったふたつの事件が大きく動き出し、「ノアール」と「ルージュ」はそれぞれ違った事件を追いかけています。たまに接点があって、まったく同じ描写で主観が違う(例えば東と姫川の対談)だけの箇所もあれば、勝俣健作(相変わらず嫌な野郎だな)のように、両作を行き来してカギとなっているような人物もいますが、基本的に別個のストーリーとして読めることがミソだと思いますね。すごい手法。なるほど、そういうことだったのかと、私はいたく感心しました。こういうのプロット組み立てて書いていくのは大変だろうと思います。
 やはり、「ノアール」を読んだときに感じた予感ですね、レビューで書いた通り、こちらは「祖師谷一家殺人事件」を扱うんじゃないかと思ったのは、当たっていましたね。
 そして、先に「ノアール」を読んでおいてよかったと思いました。上層部が最後のほうでバタバタしている理由がわかるね。
 ただ、おそらく「ルージュ」を先に読んでから「ノアール」に行った人は、逆のことを思うのだろうことも予想がつきます。
 つまり、非常によく出来たコラボだということです。
 どちらから読んでもOK。しいて言うならば、記憶の強いシリーズのほうからが無難でしょう。
 本作でいうならば、姫川玲子シリーズ直近の「インデックス」を読んでおかなければ、どうして所轄に飛ばされていた姫川が再び本部捜査一課に復帰しているのか、さらに本作で活躍する新しい殺人犯捜査十一係の面々のことがわかりません。
 もちろん、私のように読んでいるのにすでに忘れてしまっている、というような不届き者は少しだけ振り返って予習しておくとよいかと思います。

 展開。
 本部捜査一課殺人犯捜査十一係主任として戻ってきた、姫川玲子。彼女もすでに34歳になりました。
 菊田和男がもうひとりの主任警部補として帰ってきたのは嬉しいニュースですが、それでも人間関係は、かつての十係のようにうまくいっていません。
 そして、今の帳場である「祖師谷一家三人強盗殺人事件捜査本部」も事件発生から三ヶ月、解決のめどなし。
 応援として玲子フェチの井岡博満が応援にやって来、さらに現場は煮詰まった敗北感が漂っていました。
 祖師谷一家殺人事件は、インディーズのアイドルである長女を含む母親と長男の三人が無残に殺された上で、股間に銃弾を撃ち込まれて内臓をぐちゃぐちゃにされているという猟奇的な事件で、さらに犯人は殺害後血にまみれた手で冷蔵庫の中のビールを飲んでいることから、人間性の見られない鬼畜の犯行として、捜査が注視されていました。
 しかし、明日にも刑事部長が怒りの形相で乗り込んでくるかというとき、姫川が現場附近で不審人物を見かけます。
 防犯カメラの映像と聞き込みで、まもなくその人物は、フリーライターの上岡慎介(50歳)と判明。
 そしてなんと、どうして事件現場をうろついていたのか聴取しようとした矢先、上岡慎介が何者かによって殺害されてしまいます。祖師谷の事件と、上岡の死には何か繋がりがあるのでしょうか。
 代々木に立った上岡殺害事件の特捜本部に出向することになった姫川グループ(菊田、小幡)は、そこで思わぬ資料を発見します。死んだ上岡の遺した原稿で、そこには祖師谷事件と、28年前に起こった伝説の未解決事件である「昭島市一家殺人事件」との類似点が書かれていました。上岡は、祖師谷事件と、すでに時効成立した未解決事件の犯人を同一人物として睨み、周辺で聞き込みをしていたのでした・・・

 対象となる事件のほうは、こっちのほうがだいぶノアールだと思う。
 気色悪いし、怖い。
 世田谷一家殺人事件を思い出します。というか、あれがおそらくモデルなんでしょうね。
 そういえば、あの事件も真犯人は外国人ではないかと言われていますが・・・

 ふたつのシリーズは、意外にも歌舞伎町セブンの一員である上岡慎介の死をもって繋がり、再び別れていきました。
 うまく練られたコラボだったと思います。
 どちらも面白かったです。文句ない。私の個人的な採点では、本作87点、あちら81点。
 両作の閉め具合からみて、どちらも続いていくのでしょうが、日下が林の代わりに統括となった姫川のほうは、どうなるんだろう。どちらかというと、こちらのほうが運が無い展開というか、ストレスがたまる展開が続いていますよね。
 それにしてもガンテツはウザいというか、どうして姫川に上岡の原稿を渡したのでしょうか。
 そっちに専念させて、沖縄の土地買収の件を邪魔されたくなかったのかな。
 歌舞伎町セブンは、いつの日かガンテツを殺してもいいと思う。


 
 
NEXT≫
カレンダー
02 | 2017/03 | 03
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -
最新記事
カテゴリ
ミステリー (91)
ミステリー短編集 (17)
歴史ロマン・ミステリー (17)
冒険ロマン・ミステリー (14)
サイコホラー・ミステリー (15)
学園ホラー・ミステリー (14)
民俗ホラー・ミステリー (10)
政経・金融ミステリー (17)
ファンタジックミステリー (21)
近代・昭和ミステリー (14)
オカルティックミステリー (7)
青春・恋愛ミステリー (20)
医療小説・ミステリー (22)
伝奇小説・ミステリー (12)
時代人情小説・ミステリー (16)
時代冒険小説・ミステリー (18)
社会小説・ミステリー (13)
スポーツ小説・ミステリー (10)
アーティスティックミステリー (12)
海外ミステリー (27)
海外冒険小説・スリラー (16)
SF・FT・ホラー (24)
SF・FT・ホラー短編集 (13)
海外SF・FT・ホラー (17)
クライシス・パニックサスペンス (12)
警察・諜報サスペンス (29)
悪漢・犯罪サスペンス (28)
中間小説 (20)
青春・恋愛小説 (28)
家族小説・ヒューマンドラマ (29)
背徳小説・情痴文学 (13)
戦記小説・戦争文学 (17)
政経・金融小説 (14)
歴史・伝記小説 (20)
芥川賞受賞作 (18)
直木賞受賞作 (17)
文学文芸・私小説 (23)
海外小説・文学 (12)
文学アンソロジー (52)
歴史・伝記 (29)
戦史・戦記 (30)
海軍戦史・戦記 (143)
物理・宇宙 (25)
生命・生物 (37)
アンダーグラウンド (44)
事件・事故 (35)
世界情勢・国際関係 (23)
スポーツ・武術 (22)
探検・旅行記 (19)
随筆・エッセイ (28)
月別アーカイブ
プロフィール

焼酎太郎

Author:焼酎太郎
FC2ブログへようこそ!

検索フォーム
最新トラックバック
リンク
QRコード
QR
RSSリンクの表示