「異類婚姻譚」本谷有希子

 第154回(平成27年下半期)芥川賞受賞作です。
 受賞作の「異類婚姻譚」を含む、全4篇。
 作者の本谷有希子さんは、劇団の主宰者であり、劇作家兼女優。
 顔の感じがちょっと小林聡美に似ています。
 この方、なんと野間文芸新人賞と三島由紀夫賞も受賞しており、文学新人賞三冠王なのですね。
 只者ではありません。
 書かれた物も、只者ではありませんでした。
 平易な文章ながら、内容は極めて幻惑的で難解です。

「異類婚姻譚」
 結婚して4年目、専業主婦のサンちゃんは、ある日、自分の顔が旦那の顔とそっくりになっていることに気づく。
 同じマンションの顔見知りであるキタエさんに相談すると、キタエさんの知り合いの夫婦にも似たようなことがあったという。
 似たもの夫婦とはいうが、限度を超え、ますます旦那はサンちゃんに、サンちゃんは夫になっていく。
 まるで、二匹の蛇が互いに尻尾から食い合っているように・・・
 やがて、旦那の顔が、旦那をついに忘れてはじめた。そしてサンちゃんの顔も元の顔を忘れてしまう。
 さらっと読み終えるも、頭のなかは「???」だらけ。
 これはいったい、なんだったのか?
 ヒントはカップリングされている他の作品にあると思いました。
 つまりこれも、表面的に、不思議系として読めという暗示ですね。
 旦那はいったい何者だったのか、サンショはどうなったのか、解釈は適当でいいです。
 ですが、あえて意味を付けるならば、婚姻という極めて普通の社会現象ながら、本来異類である他人同士が人生を共にしていくことの不可思議さを問うたものだと思いますね。
 気楽だから、楽だからという理由で、一緒にいるふたりは、いつしか独自性を無くしていってしまう。
 対照的に描かれているのが、サンちゃんの弟カップルで、こちらは自分を見失っていません。
 もう一組描かれているキタエさん夫妻は、同化する前に間に何かを挟んだという例。しかしサンショは、生き物であるために不本意に日本に帰国することになった夫妻の“アク”に汚染されてしまったのか、部屋中に粗相をするようになって山に捨てられてしまいます。一瞬、読みながらサンちゃんの旦那がサンショに乗り移ったのではないかと思いましたが、これは違うようです。
 夫婦の顔が変化するというメタファーは、同棲によって人間個々の独自性をなくすという見解が無難かなあ。
 「自分だけ食べさせていると思ってた?」という旦那の一言が不気味で印象に残っています。
 サンちゃんも俺を食ってたじゃないかということですね。自分から同化していたじゃないかという批判です。
 着想がすごい小説だったと思いました。


「〈犬たち〉」
 人気切り絵作家の作品を複製するために、人里離れた静かな山小屋を友人から借りることになった“私”。
 住んでみると、そこにはたくさんの真っ白な犬たちが暮らしていた。
 買い出しのために街に下りた私は、自警団の男から「行方不明者が相次いでいる。犬に注意せよ」と警告を受ける。
 すごく良く出来たホラー。いい作品です。出色といっていい。
 この小説を読んだので、「異類婚姻譚」も似たような方向で解釈していいのかと思ったんですね。


「トモ子のバウムクーヘン」
 ふたりの子供と猫に囲まれて幸せな午後を過ごしていたトモ子の日常が、急に暗転する。
 それは、ふいに、なぜか、なんとなく、トモ子の心の潜在意識からにじみ出てきた形のない恐怖だった。
 この世界が途中で消されてしまうクイズ番組である、という比喩がまったくわかりません。
 このへんのセンスというか頭のなかですね、珍しく、影さえ踏めないほどついていけない小説家であると思う。


「藁の夫」
 仲良く公園のランニングコースをジョギングするトモ子と夫。
 しかし、夫のレギンスとスニーカーの隙間からは、おがくずのようなゴミがたまに落ちている。
 トモ子の夫は藁(わら)で出来ているのだ。半年前に結婚したときは、「どうして藁と結婚するのか」とずいぶん反対された。しかし、トモ子は優しげな藁に惹かれたのだった。
 ところが、ジョギングを終え、帰宅しようとしたとき、トモ子は夫の車に傷をつけてしまう。
 夫はいつまでたっても、わざとらしく藁の隙間からため息をついては、聞えよがしにトモ子をなじった。
 トモ子は思わず、藁に火を付ければどうなるのか、炎に包まれる藁の塊を想像してしまう。
 藁の夫。面白い発想。
 擬人化の反対です。擬物化(笑)
 作者は結婚しているようですが、何かしら夫に対して腹を立てたときにこの小説のプロットが浮かんだのではないでしょうか。車に傷で逆ギレはありがちですね。夫が藁ならば、燃やしたらすっとするでしょうね。



 
 
 
 
 
 

 
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「他者という病」中村うさぎ

 ナルシズムという病と、自意識過剰という罪。
 この両者が「私」を形作っている限り、我々は常に他者を求め、他者に期待し、他者の承認を欲しがり続ける。
 そして他者に拒絶されたり否定されたりするといたく傷つき、相手に激しい怒りや憎悪をぶつけるのだ。
 だが、他者がいないと、私は自分の輪郭を維持することができない。
 他者との比較によってのみ、私は自分が「人とは違う私」であることを発見できるからだ。
 私にとって「他者」とは己を映す鏡であるが、ただしそれは己の姿を極端に矮小化したり誇大化したりする歪んだ鏡なのである。


 著者の中村うさぎさんは、2013年の8月中旬、突然の病(100万人に1人の難病だったという説もある)に倒れて入院、約3ヶ月半の入院の間に一度の心肺停止と二度の呼吸停止状態を経験しました。
 死にかけたというか、一度死んでおるのです。
 幸い奇跡的な回復により退院しますが、脳に作用して人格を変えてしまうホリゾンという薬の副作用により、「私が私でなくなっていくのだろうか?」という恐怖を抱えながら、経済的支柱であった週刊文春の連載とMXTVのレギュラーを失い、鬱のどん底で「あの時に死んでいればよかった」とせっかく生き返ったのに死んでしまいたい気持ちをどうすることもできないまま、自殺未遂を決行するまでに堕ちていく、そのときの自身の心情が赤裸々に語れているエッセイが、本書です。
 時系列に沿って9つの章で構成されていますが、最初のほうは痛々しいです。
 薬の副作用のためなのか猜疑心が強くなって攻撃性が増したそうで、各章の最後には後から自身の文章を振り返った回想録が載せられており、自分が自分でなくなるとはどういうことかという考察もなされています。

 中村うさぎという人を私は週刊文春のコラムでしか知りません。
 それも、ずいぶん前に数回読んだきりで、面白いとは思っていませんでした。
 本書に目を通して、はじめてこの方が、重度の買い物依存症でホスト狂いでデリヘル嬢をしていた過去があったことを知りました。画像を検索してみましたが、そういや観たことあるかな程度でした。
 もちろん本書の重要な核である「5時に夢中」という番組でのトラブルなどは、まったく知りません。
 ですので、良かったのか悪かったのかわかりませんが、先入観なしで読みました。

 死んだ瞬間は、まったくの虚無であったそうです。絶大なる「無」と書いてありますね。
 普通ならば、その体験から新たな価値観を見つけそうなものです。
 しかし、生き返った著者は、その後のトラブルや体の困難から、死という無は生という有より幸福であり、苦界からの救済ではないかと思いつめるのです。あのまま死んでいればよかった、と。
 どうしてそのようにこの方は思うのか、それこそ他者との関係にがんじがらめに縛られた苦しみから逃れるためです。
 恐るべき自意識過剰なのですね。ナルシストなのですね。傷つきやすいのですね。
 頭が非常に良い方だと思うので、相当、生きづらいと思います。
 結局、ようやく足が立つほどに回復すると、ドアノブで首を吊って自殺を図り、失敗しました。

 ドストエフスキーの小説に「地下室の手記」というのがあります。
 あれと同じように、著者のように自意識が特に強い方は、目に見えない所に隠れて住むようにすればいいのです。
 もちろん、たとえですけどね。
 目立ちたがり屋というのは、高転びに転びますから。永遠にトップにいることはできません。
 偉そうなことは言えませんが、この方の視点というか思想からは、宇宙という観念が抜け落ちているように思います。
 宗教ではありませんよ、物理学ですね。
 生き物なんてものがどうして、宇宙にいるのかわかりません。
 人類など、宇宙にとってはいてもいなくても変わりありません。
 あまりにも早い一生を終えて消えてなくなく我々が、生きる意味など問うても仕方ないのではないですか。
 飯を食って酒を飲み、うんこして寝ていればいいのです。



 
 

 

 

「百年文庫 膳」矢田津世子・藤沢桓夫・上司小剣

 百年文庫ナンバー49ですね、テーマは「膳」。
 やっと、折り返し地点まで来ました。長かった。
 百年文庫はポプラ社のろくでもない編集社員が選んでいる作品であるため、面白さは二の次です。
 それでも、やはり文学作品は勉強になりますので、知らなかった作家に出会うことは楽しいですね。
 すなわち、価値観が広がるということですから。
 本作もそう。
 矢田津世子なんて名前も知らなかったですが、画像を検索してみると、信じられないような美人。
 37歳で亡くなったこの方はどういう人間だったのだろうと思いを馳せながら、作品を通し、時空を超えて語り合う。
 小説というのは、いわば、そのときの作家の感情や五感が、そのままタイムカプセルになったみたいなものですから。
 酒の肴には、こういう渋い近代の情緒小説が最高ですな。
 しかもテーマは「膳」ときたもんだ。言うことなし。

「茶粥の記」「万年青」矢田津世子(1907~1944)
 目の覚めるような秋田美人の矢田津世子は、林芙美子や佐多稲子と同時期に活躍した女流作家でしたが、37歳の若さで肺病で亡くなっています。元気だったならば、彼女らと一緒に従軍戦記を書かされているかもしれません。
 本作には、2篇が所収。
 聞き学問の知識だけで雑誌に味覚談義を執筆していた夫の思い出を語る「茶粥の記」。
 無垢で純真な孫嫁と、隠居のおばあさんの心の結びつきを情感豊かに描いた「万年青(おもと)」。
 どちらも、食がテーマというよりも、姑、祖母を物語の中心に据えた情緒小説ですね。
 品が良いです。

「茶人」藤沢桓夫(1904~1989)
 茶道、というと手前や侘び寂びなどを連想しますが、昔はお茶のあとに懐石料理で一杯やっていたのですよ。
 たしか千利休なんて、料理も玄人はだしであったと思います。
 いわば戦国武将にとっては、お茶はアペタイザーだったわけですね。
 この小説では、一代で身代を築いた袋物問屋の隠居七宮七兵衛が主人公で、この隠居が金持ちなのにケチで有名。
 自分も家族も丁稚も一日に二食。お茶会のメンバーですが、茶器は他人のものを借りて贋作を作るという品の無さ。
 そして、茶会の亭主は当番制で回るものなのですが、家が手狭でとぬかして亭主を受けようとしない。
 まったくどうしようもない吝嗇家なわけです。
 しかし、ついに茶会のメンバーが示し合わせて、七兵衛が亭主になるように仕向けることに成功しました。
 茶会の後には料理をこさえなければなりません。
 さあ、ドケチの七兵衛はどうしたのでしょうか・・・

「鱧の皮」上司小剣(1874~1947)
 鱧皮は、細く切って、二杯酢にして一晩くらいつけておくと、いいご飯のおかずになるそうです。
 作品の舞台は、喧騒の道頓堀。讃岐屋という料理屋の女主人・お文の周辺の物語。
 料理屋といっても、雇い人が男女28人もいますから、大店ですよ。
 問題は、このお文の亭主で、福造というのですが、これがまたとんでもない放蕩者。
 店をお文に任せて、自分は畑ちがいの投資ばかり手を出しては失敗。家出癖があって、ふつりといなくなります。
 このときも、商売でてんてこ舞いのお文の元に、東京にいるという福造から手紙が届きます。
 手紙には、金の無心と、鱧皮を送ってくれと書いてありました・・・
 このときの道頓堀は20世紀初頭でしょうか。
 なんとも、雰囲気がいいです。当時に歩いてみたかった。
 作品に登場する夫婦善哉は後に織田作之助の小説に書かれて全国的に有名になりました。



 

「ハング」誉田哲也

 ジウ・シリーズで読み残していた一冊を読みました。
 先日、どちらも映像化された人気シリーズである「姫川玲子シリーズ」と「ジウシリーズ」のコラボ作品が二冊同時刊行されました。偉業ですわな。大変面白かったですし、けっこう売れているようです。
 読むにあたり、片方の「姫川玲子シリーズ」しか読んでいなかった私は、急遽それまで手を付けていなかったジウシリーズを一気に読んだわけですが、東弘樹の出ている作品を時系列に追ったつもりが、一応ジウシリーズとして列せられる本作を読みこぼしていたことが、最新作の「硝子の太陽」コラボ二作品を読む直前に明らかになりました。
 ショックでしたが、仕方ありません。泣く泣く、本作を飛ばしたわけです。
 一応、内容の想像はついていました。おそらく、歌舞伎町セブンのジロウの話だろうと。
 伊崎基子と知り合うことになった、彼の登場の仕方がいささか突飛でしたからね。
 おそらく、作者はジロウのことを過去の小説で書いていたのだろうと。それが、たぶん本作じゃないかなと想像していました。
 彼は警視庁捜査一課の刑事だっと基子(ミサキ)に語っています。
 そしてためらいながら、彼が基子に告げた本名「ツハラ・エイタ」。
 彼こそが本作「ハング」の主人公、復讐のために警察組織を飛び出して憤怒の炎となった、津原英太そのひとなのです。
 読み返す形になりましたが、ジウシリーズで殺された仲間の無念を晴らすために真犯人の心臓を生きたまま握りつぶしたジロウの、知られざる過去を振り返ることができて、これはこれで順番としては逆になったものの良かったのではないかと思いました。
 ジウシリーズでは口数が少なく、ほとんどしゃべらないジロウがどうしてそうなったのか。
 彼の秘密は、本作にあったのです。

 少しあらすじ。
 警視庁捜査一課第五強行犯捜査特別捜査第一係は、迷宮入りの事件の再捜査や他の係の応援を任務とする“遊軍”で、俗に特捜と呼ばれる。この中に、56歳のベテラン主任警部補・堀田次郎が率いる『堀田班』がある。
 植草、小沢、津原、大河内。堀田班の4人の巡査部長は、齢が30代で近いせいか、みんな仲がいい。
 およそ警察小説で、みんなで仲良く海水浴の場面から始まる物語を、他に知らない。
 しかし、それは言うならば、後に控える悲しき凶行の反動ともいうべき前触れだったのだ・・・
 きっかけは、昨年に赤坂で発生した宝飾店店主刺殺事件。
 今年の4月、犯人逮捕に至らないまま捜査打ち切りとなったこの事件だが、それから5ヶ月後に遺品から防犯ビデオが見つかり、堀田班が再捜査を行うことになった。
 首尾よく真犯人と思しき人物の自供を取り、一転解決かと思われたが、裁判で突然被疑者が警察の強引な誘導尋問によって嘘の自供をさせられたと告白し、メディアに大きく取り上げられて、堀田班は天国から地獄の苦境に立たされてしまう。
 そして堀田班は、所轄の刑事課に異動になった堀田と津原以外は地域課の交番に飛ばされ解散させられる。
 さらに、被疑者から名指しで告発を受けた植草は交番で首を吊って自殺を遂げた。
 津原英太と警察に嫌気がさして退職しフリーライターになった小沢は、植草の自殺に疑問を感じ、その原因が赤坂事件の真相にあると見て、秘密裏に再捜査を敢行する。
 その結果、“吊るし屋”と呼ばれる、見た目が自殺と全く変わらないように人間を吊るすことのできる謎の殺し屋の存在を嗅ぎつける。しかし、それは警察の上層部の虎の尾を踏む禁忌への入り口だったのだ・・・

 出だしがいつになく牧歌的な雰囲気で、堀田班自体も、ふつう警察小説で書かれるようなギスギスした関係にない仲の良さがあって不思議でしたが、これは後半の落し込みの伏線でした。
 捜査一課というと、必ずデスクに足を投げ出して鼻毛を抜きながら後輩や同輩の失敗をあげへつらう人格が破綻した部長刑事がひとりは描かれるものですが、これはなかったのでね。
 すべて、悲劇に向かっての落とし穴掘りだったのですね。
 単体でもそこそこ面白かったですが、ジウシリーズとの接点は、細かいところ(新聞のSAT隊員死刑判決など)を除けば、東弘樹も出てきませんし、ジロウこと津原英太のみであったように思います。
 このときで津原は33歳なので、歌舞伎町セブンでは、40歳前くらいということになりますか。
 そのまま警察をふけて歌舞伎町で何やらしておるのなら、身元がバレそうなものですけどね・・・



 ジウⅠ
 ジウⅡ
 ジウⅢ
 国境事変
 歌舞伎町セブン
 歌舞伎町ダムド

 
 
 
 
 

「地上最後の刑事」ベン・H・ウィンタース

 小惑星の衝突により6ヶ月後に壊滅的被害を受けることが確定している地球を舞台にしたミステリー小説。
 3部作のうちの第1作。
 一風変わっていますが、背景はともかくとして、殺人事件を追う刑事が主役の正統派ミステリーです。
 結果的には、地球の定まった運命は、ミステリーの真相にそれほど関係ありません。

 簡単に展開。
 まず、物語スタート時の地球は、6ヶ月と11日後の10月3日(年は不明)に、直径6・5キロメートルの小惑星の衝突が100%確定しています。ヒロシマ級原爆千個に匹敵する爆発が起きて、マグニチュードで測りきれないような地震を引き起こして、そびえたつほど高い津波が発生します。そのあと、粉塵と暗闇が訪れて、地球全体で気温が20度ほど一気に下がり、人類は全滅すると言われています。
 舞台は、アメリカニューハンプシャー州の中規模都市コンコード。
 例外に漏れず、この街も自殺者が相次いでいます。
 政府は衝突準備安全確保安定法を成立させて、治安の維持に努めていますが、あらゆる種類の麻薬は需要が急激に増加し、死ぬまでにやりたいリストにとりかかるために多くの人々は会社を去っています。おかげで、IT企業や携帯電話会社は保全をする人材が足りず、電波状況は不安定でインターネットはほぼ死んでいます。
 警察も例外ではありません。刑事が辞めてしまって人手が足りないのです。
 本作の主人公であるヘンリー・パレス刑事が、1年数ヶ月の巡査経験を積んだだけで、コンコード警察署犯罪捜査成人犯罪課の刑事に採用されたのも、それが理由でした。
 そして地球の滅亡に関係なく正義感あふれるパレス刑事は、深夜のマクドナルド(本社は倒産しフランチャイズ店が独自に営業)のトイレで首を吊って自殺したと見られる、火災保険会社の保険経理士ピーター・ゼルの死を、他殺の疑いがあると判断して捜査に乗り出すのです。同僚の刑事も、検事も、検視官もやる気のない中・・・
 まさに、地上の最後の刑事のごとく。

 うーん。
 暑いですから、頭がボワーとしてまして、何がなんだかわからないうちに読み終わっていました。
 もちろん、ボワーとしたのは日本の熱気のせいだけではなく、緊張感のあまり感じられない本作の展開にもあると思います。
 3部作だったと読む前から知っていたら、読んでないかもしれないねえ。
 面倒くさいから(笑)
 地球滅亡まであと半年と迫っているのに、殺人事件の捜査なんてどうでもいいと思った、少なくとも私は。
 どうでもよくないと思う人は、これを読んで面白く感じるかもしれませんが。
 だって、サイコパスの大量殺人鬼や過激宗教の黙示録的破壊活動ならともかくですよ、この期に及んでヤク中絡みの犯罪なんて、どうでもいいわ、はっきり言って。
 そりゃ殺された被害者の無念を晴らす思いはもちろんだけどさあ、ほっといても小惑星のマイアがぶち当たって死ぬんだからね。
 ましてや、真犯人が、まあ、もう暑いしネタバレさせてもらうけど、身内なわけでしょ。
 ほっといてやれよ。
 最後まで私は、被害者の部屋に小惑星衝突に関する膨大な資料が残されていたことから、この殺人事件が政府の陰謀に関係しているのではと、筋違いの胸を高鳴らせて読んでましたからね。とんだ見当違いですよ。
 言いつつ、2作目を読んでみようかと、密かに企んでいないわけでもありませんが・・・
 確かに、もっと深まりそうな気配がないでもないです。
 哲学といいますか、人類が滅亡の危機に瀕している中で刑事活動をする理由ですね。
 ゴミ箱に入っていたピーターの記録メディア、あれは事の真相を吐露したものだったのでしょうか。
 結局、どうして殺害現場がマクドのトイレになったのか、ピーターの絶望とシンクロできたのか、私のこの暑さでとろけた脳細胞ではハッキリとしないままでした。


 
 

 
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