「マドンナ・ヴェルデ」海堂尊

なるほど、なるほど。ドラマになるのもわかる。
「ジーン・ワルツ」(カテゴリー医療小説・ミステリー参照)の別の物語です。
曾根崎理恵の母であり、子供を産めない体になった彼女に代わって代理母として「カオル」「シノブ」の双子を産んだ山咲みどり五十五歳の物語です。「ジーン・ワルツ」では目立った存在ではなかったですね。
しかし、本作は「医学のたまご」でカオル(薫)君が大活躍することを鑑みると読んでおいて損はないでしょう。

本作で海堂尊が言いたかったのは、「生物学的な母」と「法律学的な母」(あるいは社会的な母)を巡る矛盾、およびそれを指摘することでのアカデミーに対する揶揄、最前線の医学に対する社会制度の認識のずれ、でしょうね。
エーアイと一緒ですよ。ついていけないんですよ、現場に対して後方制度が、ね。
本作では、今の法律では母親は赤ちゃんを実際に出産した女性であるという定義をテーマにして、では将来、人工子宮が出来て人間が人工的に生育されるようになったら機会が母親か?と提起するわけですよ(笑)
山咲みどりのお腹に宿った子供は、娘である曾根崎理恵が人工授精によって自分と夫曾根崎伸一郎、自分と不倫相手清川吾朗の2パターンの受精卵を着床させたものです。
人にあるまじき行いですよね。「ジーンワルツ」ではそうでもなかったですが、本作を読んで私はこの曾根崎理恵という女性が大嫌いになりました。ドラマは見ていないのでどうだか知りません。
ですが、ということは子供の生物学的な片親はその卵子の親分である曾根崎理恵に間違いないわけです。
山咲みどりはただの借り腹なわけです。でも実際妊娠して出産する過程でその生命の息吹を感じれるのは彼女なわけですよ。そういう書き方をしていましたね。海堂というおっさんがそういうことを書いて、私というおっさんがこういうことを理解できるというのも気色悪い話ですが、なんとなくわかる気がします。女性がこの本を読めばもっと違うんでしょうけど。
青井ユミとコージの話もそうですね。曾根崎伸一郎の考えもそうです。
子供にとって親とは何でしょうか。実の親子より血が繋がっていない親子のほうが幸せなケースもあります。
大事なのは、子供は親を選べないということです。
子供の幸せを一番に考えてやれる、その気持は科学も法律も超えるんだ、そう云う小説でしたね。

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