「星を継ぐもの」ジェイムズ・P・ホーガン

 以前から文庫本の印象的なジャケットは知ってて、気になっていたんですがねえ。
 この宇宙服着た連中は何だろって。
 こんなに面白かったのなら、もっと早く読んでおけばよかったです。
 ジャケットの意味もわかりました。
 あれはガニメアンの船の中ですね?
 そうか、そうか、そうだったのか・・・
 1970年代の小説とは思えません。
 おそらくあと100年経っても色褪せない、SFミステリーの傑作です。

 2027年の地球。
 放射能汚染のない新しい核爆弾の開発に代表される科学技術の発達で、世界は著しく変わった。
 全世界的な豊穣と出生率の低下によって、イデオロギーや民族主義に根ざす緊張は霧消した。
 歴史を揺るがしていた対立と不信は民族、国家、党派、信教等が渾然と融和して、巨大で均一な地球社会が形成されつつあった。地球政府の成立も、近い将来のことと目されていた。
 軍備放棄の結果だぶついた資金は、急速に拡大しつつある国連太陽系探査計画に向かった。
 月ならびに火星の有人基地建設とその運営、ディープ・スペースへのロボット探査船打ち上げ、外惑星への有人飛行である。恒星間飛行でさえも、絵空事ではなくなった。
 ナショナリズムの退潮により各国の正規軍が解散すると、若者たちはその冒険欲のはけ口を、国連宇宙軍(UNSA)に求めた。新しいフロンティア開拓を目指す時代がここに幕を開けたのである。
 
 そんなときに、世界が驚愕する大事件が起きた。
 月にあるはずのない洞窟で、真紅の宇宙服を着た人間の死体が発見されたのだ。
 この遺体の身元は月面基地にいるはずのない人物であったが、身体的特徴は地球人とまったく同じであった。
 しかしこの人物の死亡時期が「約5万年前」という科学検査の結果がでて、世界中が混乱する。
 この遺体はチャーリーと名付けられ、国連宇宙軍はプロジェクト・チャーリーと呼ばれる、この謎の人物の正体を突き止める計画を立てた。原子核学者のヴィクター・ハントや、生物学者のクリス・ダンチェッカーなど世界的な科学者がこの謎を解明しようと国連宇宙軍の本部があるヒューストンに集結した。
 チャーリーは、地球を起源とする人類の末裔か、それとも地球人とはまったく異なる星間旅行者か?
 生物学者ダンチェッカーは、異なる環境で生物が進化の末まったく瓜二つになる可能性はないと言う。チャーリーは地球を起源とする我々と同じ人類であり、太古の地球文明が栄えたときの居住者であったというのだ。
 しかし地球には、かつて大昔に科学文明が栄えていたという証拠となるような遺跡はまったく発見されていない。
 しかも、チャーリーの遺体の周辺に残っていた遺物からは、およそ地球文明とはかけ離れた文字や記号が見つかっていた。
 ルナリアン文字と呼ばれるこれらの記録は次第に解析されたが、謎は深まり、堂々巡りし、結論はなかなか出なかった。
 そんなとき、思わぬ急報が、太陽系の辺境から届く。
 木星最大の衛星であるガニメデの氷床の下から、巨大な宇宙船が発見されたというのだ。
 調査によると、この宇宙船は2500万年前のもので、中には人類とは似ても似つかぬ巨人の骨が残されていた。
 これはいったい何者か? チャーリーの謎に関係あるのだろうか? 事態はますます混迷していく・・・

 万事解決かと思いきや、謎は残っています。
 ガニメアンのことだけではありません。
 プロローグで、なぜチャーリーはコリエルのことを巨人と言っていたのでしょうか。
 だから私は、コリエルは人類とは違うガニメアンだったのかと思っていました。
 でも地球に来たのはコリエルなんですよね。じゃあ人間だわなあ、ここがよくわかりません。
 まあしかし、面白かったわ。
 オチが最高だった。月が移動したとは発想になかったし、最後のダンチェッカーの結論も、それが一番筋が通っているのに、思わず虚を突かれました。
 科学的な想像も、あながち妄想とばかりも言えなくて、今から約40年前の空想とはとても思えません。
 時空のあぶくを飛んで行くというガニメアンの宇宙船の推進方法なんて、本当にあり得るかもしれないよ。
 時空を曲げるということは、実際に曲がっているところも宇宙にはあるでしょうから、絶対に未来永劫できないことはないでしょうし、光速を超えてなおかつアインシュタインに矛盾しない方法はこれしかありません。
 ニュートリノのスコープは、「それ全部通過してしまうじゃん」と思いましたが、ひょっとして当たれば、どんなナノミクロでも透視解像できるわねえ。
 まあ、近いうちに続編を読んでみますから、楽しみです。


 
 

 
 
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この記事へのコメント

- ひだまりさん。 - 2016年05月17日 00:55:12

こんばんは。
またまたお邪魔します。

今日、続編『ガニメアンの優しい巨人』読み終わりました(*^^)v
1作目と同じく驚愕のラストです。

『星を継ぐもの』面白かったですね。
ミネルヴァが滅びて地球の月になった・・・のにはびっくりですが、納得でした。
コリエルはガニメアンではなかったようですね。
私も最初、ガニメアンだと思いながら読んでいました。

2作目はガニメアンと遭遇です(*^^*)

Re - 焼酎太郎 - 2016年05月17日 12:50:38

どうもですヽ(´ー`)ノ
お邪魔などおっしゃらずにいつでもいらしてくだい。
このような小汚いところで大変失礼いたしております。

「星を継ぐもの」、大変面白かったです。
想像以上でした。
ひだまりさんのところで目にしなければ、読まずに死んでいたでしょう。
いいのを紹介いただきありがとうございます。
2作目ですが、ひょっとしたら私の方が読むのが先になるのではと
思っておりましたが、もう読まれましたか(笑)

ではゆっくり追いついていこうと思っております。

コメントありがとうございます☆


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