「日本古代史を科学する」中田力

 著者は脳神経外科医で複雑系脳科学の世界的権威(自称)。
 自然科学者の視点から、非論理的な結論が長年定説とされてきた日本の歴史に考察を加え、邪馬台国はどこにあったのかという日本史最大のミステリーから、記紀(古事記と日本書紀)に記載された神話の謎解きまで、独自の日本創生の見解を示したのが本書です。

 これが新書ですからねえ、うーん。自費出版みたいな内容だけど。
 でも8刷だってよ、めっちゃ売れてる(初版2012年)。
 私的には邪馬台国よりも、本書が8刷売れているほうがよほどミステリーですわ。
 まあ、私もそのうちのひとりか(笑)
 騙されたなあ。こんな読みにくい本はありませんわ。
 ただただ、読みにくくて理解がしにくい。納得がいきにくい。
 結論からいうと、邪馬台国は日向灘に面した宮崎県にあったということ、中国の上海らへんにあった周王朝の末裔が縄文人を駆逐して大和朝廷を建国したことなどが書かれています。
 これだけだと別にいいんですけどね。
 著者は魏志倭人伝に記されている国と国との距離「里」を、現在の中国で適用されている1里=500メートルではなく、1里=60メートルで計算し、グーグルアースを駆使して中国の官吏が通った道を模索しました。
 その結果、伊都国、奴国、不弥国が佐賀平野にあったことを推定し、不弥国から水行20日の投馬国を熊本、投馬国から水行10日陸行1月で行ける邪馬台国を、宮崎平野にあったと断定しています。
 いいんじゃない。本当に宮崎かもしれないし。吉野ヶ里遺跡は佐賀だしね。
 卑弥呼の墓が前方後円墳であると決めつけた日本考古学の論理はおかしい、九州に墓がないからといって邪馬台国が九州にないとは言い切れないという著者の意見もまたその通りですよ。
 まあ、私は畿内に違いないと今でも思っていますけどね。ヤマタイ=ヤマトいう名前だけでもう決まりみたいな。
 言うだけは自由。邪馬台国は宮崎かもしれないし徳島かもしれないし、岩手かもしれません。
 ただね。著者が説明することころの、水行の1日が3キロメートルくらいしか進まないのはおかしいと思います。
 いくら倭舟がボロでも、1日かかって3キロしか進まないってどんな舟なのよ。
 それだったら、面倒くさくても歩いていきませんか? 佐賀から熊本までなんですから。
 それはおかしいよ。はじめから宮崎あたりを落とし所として想定していたとしか思えませんね。
 日本の考古学が、非科学的でバカばかりというのは当たっていると思いますけども。

 あと日本民族のルーツといいますか、解釈ね。
 著者いわくY染色体ハプロタイプ解析によると、日本人はモンゴル人や中国人にはまったく見られないチベット系と似たDNAを持っているそうです。これは、上海あたりで隆盛し紀元前473年に滅亡した姫姓の呉という国(周王朝の末裔)が難を逃れて日本にやってきて、それが弥生時代の幕開けとなったと著者は説明しています。
 まあ、何かはきただろうね。それが弥生時代の幕開けがどうかは知りませんが、縄文人と弥生人は顔が違います。
 私なんかは、もろのっぺりとした弥生顔なので先祖は大陸かもしれない。まあ、いいですよ。朝鮮も支那も嫌いだけど。
 ただね、邪馬台国の起源は迫害を逃れた徐福の渡来であるという説は、いささか冒険にすぎるのではないかと思います。
 出雲は姫姓の呉の次に滅亡した越という国の難民が建てたみたいなことも書いてたな。
 そんなに王朝が滅亡するたびに日本にやってきませんよ、海だってあるんだから。
 だいたい彼らが国を作ったならば、文書を残しているはずだと思います。
 それに、邪馬台国を構成した人物がヒミコとかイトとかみたいな名前にはなっていませんよ。
 蛮族と差別されて卑しい漢字(奴国、卑弥呼など)を使われたら、プライドが許さないと思いますし。
 もちろん、かなりの数が渡来してきているのは間違いないですがね。
 大陸と縁を切って日本人に成り切っても、なんの文書も残していないのというのはやはりおかしい。
 政権の中枢には縄文人かどうかはともかくとして、純粋な日本人がいたのだと思います。

 つまるところ、あとがきで書いてらっしゃる「意味のない権威主義から解放された正しい歴史感」という意味がまったくわからない私にとって、本書は次元が違っていたのかもしれませんねえ。もろ権威臭を感じさせる本でした。


 
 
 
 
 
 
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