「プロメテウスの罠2」朝日新聞特別報道部

朝日新聞の連載をまとめた「プロメテウスの罠」(カテゴリー事件・事故参照)の続編です。
2012年2月7日から6月8日まで掲載されたぶんで、前作の続きということで第7章から始まります。
しかし、読んだ直後の感想からいうと、前作とはだいぶ感じが違うなあと。
前作は事故直後の緊迫感にあふれており、あくまでも「地震による原発事故」を余裕もないまま正面から捉えていたように思いましたが、本作は一歩引いて事故を全体的に俯瞰するような、そんな余裕と落ち着きを感じたりします。
記事自体もあらゆる方向から迫っており、云い方は不謹慎ですがバラエティに富んでいます。
そのなかでも原子力を含めたこれからの日本のエネルギー政策の方向性について現場委員会の動向が書かれているのは非常に勉強になりましたね。
こんなに原子力について知らなかったんだ、知らされてなかったんだと驚いています。
生半可に原子力発電について意見のある方はその考えを変えさせられるかもしれません。

以下、要点。
☆「原子力というパンドラの箱を開けてしまいました」2000年に亡くなった科学者の高木仁三郎は、17年前に福島第一原発の事故を予言していた。彼は阪神大震災の教訓をもとに、原発が地震に襲われた場合の危険を訴え、とりわけ老朽化していく原発を危険視していた。ギリシャ神話のパンドラは、火を人類に与えたプロメテウスの弟の妻である。ゼウスからもらった箱を開けてしまうと、そこからは災いが次々と飛び出した。

☆東電学園(東京電力が運営する全寮制の学校)を卒業し、10年前まで福島第一原発で炉心の運転、設計業務に携わっていた技師。「プルトニウムなどの重要核種が約10種あるんですが、その増加を目の当たりにするんです。この世に存在しないはずの毒、2万~5万年も管理しなきゃいけないような物質がどんどんできる。なんだこれ?の始まりでした」原発が津波に弱いことも現場では周知の事実だった。東電を退職した彼は高知に住んでいる。古い民家を安く借り、電気温水器の風呂を薪風呂に改造し、居間には薪ストーブ。戸外に移動式太陽光パネルを据え四国電力に払う電気代は突き700円。薪ストーブや薪風呂を指して「原始力」と彼は笑う。

☆日本とイギリスを往復していた核燃料輸送船の船主であるシーバード社は、資本金わずか40万円のペーパーカンパニーだった。日本から英仏に運んだ使用済み核燃料は再処理されてプルトニウムが取り出される。その際、高レベル廃棄物も出る。それはガラスで固められ重さ500キロの「ガラス固化体」となる。放射能はガラス固化体1本で2京ベクレルもあり、表面の放射線量はできあがった時点で毎時1500シーベルト。近づけば1分以内に死ぬ。使用済み核燃料の保管の問題は、まさに「トイレなきマンション」。排出物はたまり続ける。東電の2011年末時点の決算によると「使用済み核燃料再処理等引当金」は1兆1723億円!

☆公務員倫理法施行前には役所に電力会社の人間が自由に出入りし、接待漬けだった。電力会社の人間は、ガス会社寄りの官僚を「ガス中毒」、電力寄りを「感電」と呼んだ。

☆下北半島をロサンゼルスに……青森の挑戦はいつのまにか原子力に取り込まれる。日本原燃の失敗。核燃料再処理工場は完成予定が18回も延長され、動く気配はない。日本にはすでに使用済み核燃料が2万トン近く溜まっている。そして福島第一原発からは今も毎時1千万ベクレルのセシウムが放出され続けている。

☆「放射能をつけちゃうぞ」発言で辞任に追い込まれた鉢路吉雄元経済産業相。彼は「総合資源エネルギー調査会」の基本問題委員会の人選で脱原発派と原発維持派を半々にする予定だった。直前に辞任となったため、委員会のメンバーは25人中脱原発派は8人しか入れなかった。5月28日の基本問題委員会で、2030年の発電に占める原発比率の選択肢は0%、15%、20~25%の3通りと決まった。

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