「叫びと祈り」梓崎優

あまり読み込めませんでした・・・梓崎優(しざきゆう)。
この本は今年度の本格ミステリーベスト10の2位にランキングされ期待していたのですが
師走のドタバタとしている時期に読む本ではない、と思います。
淡いパステルカラーの風景画みたいな印象の作品ですので、出来れば緑風が優しく前髪を揺らすような穏やかな春の一日に、ストレートティーでもいただきながらページをゆっくりとめくってみる、これがいいと思います。
私のように飲み会の段取りをつけたりかからぬ電話にいら立ちながら慌ただしくページを飛ばしあいまに焼酎をぐいぐいとやっている、こんなことではこの本の良さはわからないでしょうね。

さて、内容ですが5つの短編から成り立っています。
それぞれ独立したものではなく、主人公はすべて同じ「斉木」君。彼は七ヶ国語を喋ることができ、ジャーナリストとして世界各地を飛び回っています。
最終話の「祈り」では大団円というかそれまでの作品と繋がってくるので、連作小説集というよりもひとつ作品として見ることもできますね。物語も同様の格調があって、それがこの新人作家の特徴です。
「砂漠を走る船の道」は西アフリカの砂漠が舞台、「白い巨人」はスペイン、「凍れるルーシー」はロシアの修道院、「叫び」はブラジルのジャングル、「祈り」はなぜでしょう、日本の病院です。
読み終えて、斉木君の喋れる七ヶ国語はどこなんだろう、と考えた人間は私くらいかもしれません。
まず、西アフリカはフランス語でしょうな。そして、スペイン語、ロシア語、ポルトガル語、英語。あと二つは「祈り」の中にヒントがあって、たぶん中国語とアラビア語だと私は思っています。

まあなんだかんだですが、もう一回読んでみなければいけませんね。
新鮮で格調高い雰囲気を感じたのは事実ですし、「命」というものに対する捉え方は、文化文明に左右されて決して世界で統一された見方たりえない、であるから殺人という行為にしても、人がなくなるという行為にしても、たとえば外国人としてその場面にあなたがそっと置かれた場合、あなたは一方向からの側面しか見ることが出来ないかもしれない、といったテーマは感じました。
祈りの洞窟の話も同じことが言いたかったのでは、と私は思いましたが、さあどうでしょうか・・・

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